津山事件と言っても昭和13年のあの忌まわしい事件のことではないので、安心を。
昨日のことである。
息子と一緒に大阪駅の高速バスターミナルにいた。
「俺、バスのチケットどこに入れたっけ?」
「バッグのポケットに入れていたの見たよ」
「ああ、あった。ちょっと行ってくるからカバン見ていて」
と言って、息子が離れた数分後、道にチケットらしきものがひらひらと舞っている。
「ん??あのバカ、落としやがったな」
と思って拾ってみると、それは確かにバスのチケットではあるが、「津山行き」と書いてあるし、ご丁寧に「〇〇様」と書いてある他人様のチケットであった。しかも出発時間まであと15分しかないチケットだ。
周りを見回してもチケットを探し回っている風な人はいないので、落とした人はまだ気づいていないか必死でポケットを探っているに違いない。
とりあえず直前なので津山行きの乗り場に行ってみる。バスを待って座っている人は二人しかいない。
一人の年配のご婦人は手にチケットを持っている。この人じゃない。
もう一人の40代くらいのスーツを着た男性はスマホを触っているが、可能性的にこの人が自分がチケット落としたのに気づいてないのではないかと思い声をかけてみた。
「○○様ですか?」
チケットにあった名前を言ってみた。
「いえ、違います・・・」
「あ、失礼しました」
スーツを着た男性はとてもいぶかしそうに返答して、目も合わそうとしなかった。
まあ、そりゃそうだ。見知らぬおばはんに突然知らない名前を呼ばれる。
危ないやつと思われるのは致し方ない。
仕方ないので、チケットセンターの受付に行き事情を説明した。
チケット時間の変更に来た客と思われたが、拾得物とわかってくれ、丁寧にお礼を言われた。
まもなく息子が戻ってきたので、待合室に座り今あったことを息子に向かってまくしたてた。
「その津山行き、あと10分しかないけど、誰も受付に聞きに行っている風はない。もしかしてどこかで探しているのかもしれないねぇ」
「津山ってどこや?」
「岡山ちゃうかな」
息子の乗るバスはまだまだ先で、私たちは悠長に他人の心配をしていた。
待合室はオミクロンの影響もあって人も少なく、30代くらいの男性が一人で椅子を一列使って店を広げるようにスーツケースを広げ荷物を詰めなおしていた。お土産なのかスーツケース以外にも紙袋が五つ六つあった。
大阪らしいマダムシンコの袋もあった。
「〇番に到着のバスは13時発津山行きです。」
とうとう直前のアナウンスが入った。
「お母さん、あの人ちゃうか?」
息子が、目の前のスーツケースを広げた男性を見ながらぼそりと言う。
見ると、男性はスーツケースを広げたまま詰めなおしを中断し、ポケットから小銭やお札、レシートを山のように出し始めている。
必死で何かを探しているようだ。また細かい紙のようなものが出るわ出るわ・・・
それじゃ、見つかるものも見つかれへんぞ。
「・・・あれ、チケット探してるんちゃうか?」
息子に言われて私は勇気を出して聞いてみた。(さっきいぶかしがられたからちょっと勇気が要ったのね)
「○○さんですか?」
「はい○○です」
やっぱ、この人やんΣ(´Д`*)
「バスチケットなくしたのではありませんか?」
「はい!?今ないなと・・・」
「さっき、道に落ちていたので受付に渡しておきましたよ」
「え??ほんとですか」
慌てて受付に走っていく男性。開いたスーツケースの上にはお金やレシートが置きっぱなし。
千円札が空調でひらひらしている。
「うわぁ・・・外国であんな事したら、一発で全部持っていかれるわ」
「大丈夫、ここは日本やし、俺ら見ているし」
「いや、そういう問題?」
「・・・津山、きっといい人しかおらんのよ」
もちろん息子は昭和13年に起きた史上最悪の殺人事件など知る由もない。
とても牧歌的なイメージなのだろう。
少なくともこの男性からははそうとしかうかがえない。
男性がスーツケースを閉めてたくさんのお土産袋で両手を一杯にして乗降口に走っていったのはもうバス出発の数分前。
慌ててはいたが、深々と頭を下げていかれたのでいい人なのだと思うが、他人ながらに心配だ。
「あの人、家にたどり着くまでに、まだなんかなくしそう」(息子)
「お母さんもそう思う。」(私)
「昔はあんたもあんなものだったよなぁ」(私)
「いや、今もあんまり変わらんよ」(息子)
・・・・・変われよ。(。-_-。)
コロナ禍でなければ、人がいっぱいの待合室はがらんがらん。
バスの時刻表見ながら、ここからいろんなところに行けるんだなぁとしみじみ思った。
高速バスは値段も安いから、休便は仕方ないが存続はしてほしい。
またここからまだいろんなところに行ってみたい。
「いいことを一つしたから、私たちにもいいことが一つやってくるよ」
高速バスに乗る息子を見送って、ちょっとだけ自己満足に浸った私だった。
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大きな大きな一日一善でしたね~。
良い事をする為に、恥を掻く事もアルアルです。
それを乗り越えて、チケットの持ち主を見つけられて
良かったです。
チケットが見つからなかったら、彼は大変でしたよ~。
コロナのせいで、ガラガラのバスターミナル・・・。
コロナ発生直後の成田やロサンゼルスの空港を思い出しました。
空港行きの高速バスも減便になっているし、早く普通の生活に
戻りたいですね~。
チケットの持ち主さん、見つかって良かったですね(*^^*)
月詠みさんのような親切な方に拾われてラッキーだったと思います。
チケットが津山行きだったので津山事件だったのですね。
あの昔に起きた津山事件のことかと思いました。
実は私は津山で生まれたんです。
それもあの津山事件と同じ町で。(昔は津山ではなくて加茂町でした)
住んでいたのは短い期間だったのですが、この事件のことは何か聞いたことがありました。
話が反れました(笑)
チケット無くされた方本当にホットとされたでしょうね。
こんなことってあるんだな~と言う面白い出来事でした。
最初に声かけた人はほんとに不審な人に声かけられたあからさまに硬い面持ちでしたが
もし私が逆の立場なら同じ態度だったと思います。
あと、この○○さん」。この人はそりゃ落とすな~って思う散らかりようでしたが
せっかく届けたチケットなので無事に津山にたどり着いてほしいと見守りました。
息子の
「津山、いい人しかおらんのよ」が面白かったです。(^^)
ええええええええ~~~~~!!津山でお生まれになっていたんですか???
それなら事件のことは漏れ聞く機会もあったことでしょう。
もう当時大人だった人はほぼいないのでしょうが、八墓村のモチーフですもんね。
チケットなくされた方は、本当にギリギリまで荷物の整理していたり
ポケットから山のような紙きれやらお金を出していたり。これじゃなくすわな…と言うような人でした。
ギリギリにバスに乗るときも、なんか忘れ物しやしないかと心配で見守ってしまいました。
自分も粗忽なほうなので他人事ではなかったのですよ(^^)